1.慰謝料の意義
暴力行為等により離婚することになった場合、相手方に対して、精神的苦痛に対する慰謝料の支払いを求めることができます。
この慰謝料請求については、財産分与の中に含めて請求したり、財産分与とは別に請求することが可能です。
2.離婚に伴う慰謝料請求の時効
離婚に伴う慰謝料請求には、(1)離婚原因となる個々の行為(ex.暴力)に対する慰謝料及び(2)離婚したことそれ自体に対する慰謝料の二つがあります。
前者については、個々の行為時から、後者については、離婚成立時からそれぞれ3年で時効にかかります。
3.慰謝料の望ましい支払方法
離婚に際し慰謝料の取り決めを行う場合には、慰謝料をできるだけ一括で即時に支払ってもらうのが望ましいと考えられます。
ただし、相手の資力がない場合には、分割払いとなることがありますが、その場合でも、期限の利益の喪失条項及び遅延損害金を定めるべきといえます。
特に期限の利益の喪失条項がないとたとえ不払いがあっても、期限が到来した分しか慰謝料を請求できないため、期限の利益の喪失条項は、重要といえます。
4.離婚に伴う慰謝料と事情変更の原則の不適用
離婚に伴う慰謝料は、養育費と異なり、事情変更の原則が適用されないため、一度取り決めた慰謝料の額を事情が変わったからといって、変更できるものではありません。
そのため、離婚に伴う慰謝料の額を決定するときは、できるだけ慎重になるべきといえます。
5.慰謝料請求の相場
慰謝料の額の相場は、概ね100万円から300万円までの場合が多いとされます。
なお、実務上高額な慰謝料の額が認められるためには、慰謝料を支払う側が高所得である等特別な事情が必要とされることがあります。